会計制度委員会報告第4号「外貨建取引等の会計処理に関する実務指針」、同7号「連結財務諸表における資本連結手続に関する実務指針」、同9号「持分法会計に関する実務指針」、同14号「金融商品会計に関する実務指針」及び金融商品会計に関するQ&Aの改正について
日本公認会計士協会(JICPA)は、会計制度委員会報告第4号「外貨建取引等の会計処理に関する実務指針」、同7号「連結財務諸表における資本連結手続に関する実務指針」、同9号「持分法会計に関する実務指針」、同14号「金融商品会計に関する実務指針」及び金融商品会計に関するQ&A(以下、これらを合わせて「外貨建取引等実務指針等」という。)を2022年10月28日付で公表しました。
1.改正の背景
企業会計基準委員会(ASBJ)において、税金費用の計上区分(その他の包括利益に対する課税)及びグループ法人税制が適用される場合の子会社株式等の売却に係る税効果の取扱いに関して検討がなされ、改正企業会計基準第27号「法人税、住民税及び事業税等に関する会計基準」等(以下、「法人税等会計基準等」という。)が公表されました。これに伴い、外貨建取引等実務指針等についても改正する必要が生じたため、ASBJからJICPAに対し、外貨建取引等実務指針等の改正の検討の依頼があり、JICPAによる検討の結果、外貨建取引等実務指針等の改正を行ったものです。
2.改正内容
外貨建取引等実務指針等の主な改正内容は、以下のとおりです。
(1) 税金費用の計上区分(その他の包括利益に対する課税)に関する取扱い
法人税等会計基準等では、税金費用の計上区分(その他の包括利益に対する課税)について、当事業年度の所得に対する法人税、住民税及び事業税等を、その発生源泉となる取引等に応じて、損益(税引前当期純利益から控除)、株主資本及びその他の包括利益の各区分に計上する案が示されました。そのため、株主資本及びその他の包括利益の各項目(評価差額及び繰延ヘッジ損益等)について、従来、繰延税金資産又は繰延税金負債に対応する額を控除した金額を計上することとしていましたが、これに加えて、各項目に対して課税された法人税等の額についても控除した金額を計上することとされています。
(2) グループ法人税制が適用される場合の子会社株式等の売却に係る税効果の取扱い
法人税等会計基準等では、グループ法人税制が適用される場合の子会社株式等の売却に係る税効果の取扱いについて、連結財務諸表上のみ、売却時に税金費用を計上しないようにする案が示されました。そのため、持分法適用会社における留保利益、のれんの償却額、負ののれんの処理額及び欠損金について、税務上の要件を満たし、課税所得計算において売却損益を繰り延べる場合(法人税法第61条の11)に該当する当該持分法適用会社の株式売却の意思決定を行った場合には、税効果を認識しないこととされています。
3.適用
法人税等会計基準等を適用する連結会計年度及び事業年度から適用することを予定しているとされています。
詳細な内容は、以下のウェブサイトを参照ください。
https://jicpa.or.jp/specialized_field/20221028ruy.html